思い出の動画や「推し」の映像を映画館のような大画面で見たい――。利用者がDVDやタブレット端末を持ち込み、それぞれの楽しみ方をする「MYプライベートシアター」がある。

 経営するのは、セカンドライフの拠点にと、アイデアを出し合った夫婦。2人が会社務めで積んだ経験や思いが生かされ、小さなシアターとして結実した。

シアター内=2024年4月23日、奈良県生駒市東新町、伊藤誠撮影

 「MYプライベートシアター いこまめ座」は、奈良県生駒市の近鉄生駒駅から徒歩7分の場所にある。古家を改装した40平方メートルの建物で、道路に面した18平方メートルのスペースは「まめカフェ」になっている。

 独特の薄暗さのシアター内は、赤いカーペットで隠れ家的なワクワク感が湧き起こる。それぞれ別の鉄道会社でエンターテインメント事業や旅客誘致事業などを手がけ、ともに2022年に退職した柴田達人(たつ・と)さん(61)と裕子さん(61)が営む。

 「会社を辞めたら何ができるだろう」

 数年前から思い続けていた達人さんは、時々利用していた「ならまちシアター 青丹座(あを・に・ざ)」(奈良市下御門町)が漠然と頭に残っていた。仲間や家族と好きな映画を見ながらひとときを過ごす空間。

 「あんなのがやれたらいいなあ」

 20年の暮れ。大阪でコンサ…

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